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[レビュー]幕末尽忠報国烈士伝-MIBURO-の感想
2018-04-05 Thu 00:00
<作品名>     幕末尽忠報国烈士伝-MIBURO-
<製作会社名>   Inre


幕末尽忠報国烈士伝-MIBURO-
公式ホームページ
↑クリックすると公式HPに飛びます。

キャラクター・シナリオ : 【 S++ 】
Inreの3作目となる作品。
舞台は幕末、京で人斬り集団と恐れられた「新選組」をメインとした作品。
歴史物という点は今までと変わらないのだが、前作までのようなタイムスリップ物ではなく、史実を基にして新選組の一隊士から見た結成とその終焉までを描いたシナリオとなっている。

物語序盤の関しては把握することも多くどうしても辛い部分があり、物語自体も割と穏やかなので、どうしても飽きが来そうになる。しかしながら、中盤から後半の盛り上がりはさすがというほかなく、特に最も長く戦い抜いた土方歳三のエピソードについては心の底が滾るような熱く燃えるシーンが多く、思わず惚れてしまいそうになるほど。
そしてその分泣けるシーンも多く存在している。
何よりも素晴らしいのは史実をここまで調べて作っている事実だろう。
個人的にあまり詳しくはないので各設定についてWeb等で調べているが、比較的丁寧に史実がわかりやすく描かれたシナリオになっており、中には近年の発見についても触れられている。
また、作品では分かりにくい所を解説するためにMAPや豆知識、人物図鑑が適宜解放されてゆくようになっており、自身で調べなくてもある程度の流れは十二分にわかるようになっているところも評価が高い。

上記でも述べたが、基本的に史実をもとにしているので、感情移入した多くの人物が最終的には死ぬことになり、そういう意味では救いのない√が多い。
そんな中で今回の作品は「新選組」の隊士一人一人について重点的に描き、それぞれの√でのエピソードを挿入している。それらにはまた違った魅力がたくさん詰まっており、個別√の一つとして作品自体の魅力を一段と引き上げる役割を果たしている。

多くの栄光と悲劇が巻き起こった幕末の人きり集団である「新選組」。
彼らの持つ『誠』の魂を時を超えて今の人々に伝えたい…そんな気持ちがダイレクトに伝わる素晴らしい作品と言える。

なお作品の終盤では自作へのつながりと思えるシーンも存在している。


共通√【 S++ 】  15h
見田健という青年が新選組に出会い、加入し、歴史の流れをたどり、物語も終盤の流山に至るあたりまでを描いている。
史実に基づいて描かれたシナリオは非常に分量があり、池田屋事件を代表とする皆の良く知る”新選組”としての部分が最もよく描かれている。
もちろん見せ場となるシーンが多く、殺陣シーンだけではなく泣きシーンも存在。


幕末尽忠報国烈士伝MIBURO 沖田 総司
沖田 総司√【 S 】  1h
流山にいかず、総司に付き添うことに決めた際の√。
新選組と分かれて過ごす沖田についてのエピソードを描いた刹那の幸せと復讐のお話。
史実とは多少違った内容となっており、沖田の戦闘シーンや主人公の戦闘シーンもある。
なお別れた後の近藤や土方についても多少言及されている。


幕末尽忠報国烈士伝MIBURO 近藤 勇
近藤 勇√【 S++ 】  1-2h
流山の時点、近藤勇投降時に身代わりを立てて江戸に向かう√。
史実を独自の解釈により「近藤勇が秘密裏生きている」としたうえで、沖田√とは違った『江戸から見た一連の流れ』を詳しく描いている。
戦闘シーンこそないが、悲しく切ない「忠臣」のお話になっている。また尾形俊太郎の消息など、調べると面白い近年の発見等の情報もある√となっている。


幕末尽忠報国烈士伝MIBURO 斎藤 一
斎藤 一√【 S+ 】  1-2h
仙台に行かずに斎藤と共に会津に戻ることで突入。
斎藤一の行動を史実通りにたどる√となっており、とくに鶴ヶ城(若松城)での戦いを詳細に描いた話となっている。また、後半からは『会津藩士たちから見た事件の顛末』が描かれており、心に新選組の炎をともしながらも明治維新の新しい潮流に飲み込まれ賊軍と官軍の間を行き来する斎藤の人生を体験できる。
鶴ヶ城では頼母家や白虎隊のエピソードが、後半では岡田以蔵などの面々が登場している。


幕末尽忠報国烈士伝MIBURO 土方 歳三
土方 歳三√【 S++ 】  1-2h
戊辰戦争の最後の舞台である箱館戦争を描いた物語。
舞台を五稜郭へと移し、榎本武揚や大鳥圭介らが主な登場人物となっている。
今までももちろんかっこよかったのだが、新選組のこの人に惚れなくて誰に惚れればよいのだろうというほどカッコいい生き様が描かれている。
戦場である二股口の戦いなどを経て鬼と恐れられた土方歳三の魅力的過ぎる一生が描かれたシナリオであり、だからこそ最終場面では泣きシーンもある。

全ルートクリア後に土方END2が存在。
一魅が登場して伏線を回収してゆくシナリオとなっており、短いものの土方歳三の殺陣シーンもある。その前の土方歳三のセリフは演出であるOPも含めて鳥肌物。
全ての謎が解けるわけではなく、「あれ? これでおわり?」となってしまう部分もあるのが残念な所。


幕末尽忠報国烈士伝MIBURO 山南 敬助
山南 敬助√【 S 】  1h
大津において山南と逃げることを決めたアナザー√。
山南と主人公が庄内藩へと向かうことになっており、山南と共に戊辰戦争を奥州で無敵を誇った庄内藩からみたシナリオとなっている。
シナリオ的には山があまりないものの、早々に歴史から姿を消した新選組の一員である山南の救済√ともいえる無いようになっている。


幕末尽忠報国烈士伝MIBURO 藤堂 平助
藤堂 平助√【 S 】  1h
「油小路の変」で藤堂が生きていた場合のお話。
近藤や土方に並び新選組で名の上がることが多い藤堂平助に存在している”生存説”を短めのアナザーストーリーとして描いた話となっている。
ある意味伝説のような話ではあるものの、若くして亡くなった素晴らしい才能の持ち主だったからこそ「こうだったらいいのに…」と誰しもが思ってしまうような、そういうストーリーができるのだろうと思わせてくれる話になっている。


幕末尽忠報国烈士伝MIBURO 永倉 新八
永倉 新八√【 S++ 】  1-2h
新選組と袂を分かった永倉についてゆくアナザーストーリー。
原田ら共に『靖兵隊』立ち上げ戊辰戦争に関わる一連の流れやその後の永倉新八の人生をたどって行くシナリオとなっている。
作中では笑い担当のキャラであったが、数少ない生き残った隊士であり「新選組」をこの世の中へ刻み込む運動を行った新八のためのシナリオ。
史実と違いそうな部分も多分に入っているため、願望ともいえる内容もあるにはあるが、それでもそのシナリオ完成度は高い。


[ 主人公 ] 見田 健
「玉」という相手の弱点を見破る特殊能力をもっており、妹の鞘不定浪人に襲われた際にこの力が開花することで人を一人きり殺す。
その後、気を失うがその力を認められ新選組入りする。
その後は史実にあまり触れない形で各ルートの体験型観察者のような立場をとる。土方√をプレイすることで一部設定のバックボーンが市村鉄之助であることが分かる他、その他√でも各史実上の人物に役割を変えて存在している。


【推奨攻略順 : 沖田→斎藤→土方1→山南→藤堂→永倉→土方2 】
初回プレイは『誠の道』のみがプレイ可能で、沖田・斎藤・土方の3√を攻略後にアナザールートとして山南・藤堂・永倉の3√が攻略可能になり、そのすべてをクリアすると最終√として土方2√が解放される。
基本的には上記のロックがあるため、それにしたがっていればよい。


CG : 【 S 】
硬い線と濃い塗りの絵。
登場キャラが多いこともあり、各キャラ用のイベントCGという意味では数は少なめだが、戦闘(殺陣)シーンのものが非常に多く存在している。
質に関してはかなり上下があるのは確か。
ただ殺陣シーンでの豊富な立ち絵を登場させ動かしたり、刀だけを細かく動かしたり、瞳を細かく動かしたり…絵以外の部分においても非常に努力が見られる。
一部背景は舞台が同じであるため過去作の物も流用。


音楽 : 【 S+ 】
BGM23曲+、Vo曲2曲(OP/ED)と一部Vo曲アレンジBGMを追加したもので構成。
戦闘シーン用のBGMが多い中で時代と合わせたクラッシック曲である「夢路より」などがあったり、「一陣の風」のように非常に泣かせるBGMも存在。
Vo曲については、燃えるOPである「艶麗ブラックアウト」も素晴らしいのだが、なんといってもEDの「天燃ゆ先へ -天明-」は山南さんの声優も務めた三代眞子が歌っており、アレンジ曲も含めて切なく泣ける曲で泣きシーンでもよくつかわれていた。
プレイ後は歌詞もぜひじっくり感じてほしい。


お勧め度 : 【 S++ 】
Inreの三作目であり、2作目でも登場した幕末の新選組をメインした作品ではあるが、単体で十二分に楽しめる作品になっている。
歴史物がどうしても苦手な方、流血シーンが多いのでそういうのが苦手な方には仕方がないが、それ以外の人――特に「新選組」についてまったく知識のない方には強くお勧めしたい作品で、史実に基づいた熱い誠の魂を感じることができる稀有な作品。
なお作中の一部に1作目、2作目からの登場人物・設定があるため完全に楽しむなら1作目と2作目のプレイも推奨したい。(順不同)


総合評価 : 【 S++ 】
さすがInreというべき歴史作品で、その情報の精度やシナリオの組み立て方、その他演出やエピソードの選択等々を鑑みても十二分にこの評価を満たす。

(ぶっちゃけコーナー)
いやぁ…Inreの葉山こよーてさんは本当にすごいな…あの情熱を傾けたのは忠臣蔵だけじゃなかったのな…あのレベルのものを新選組で見られるとは…。
これをクリアしてから、自分の中で新選組ブームが起こるほどだわ。
土方さんはまじかっけぇ…この人に惚れずに誰に惚れたらいいんだってくらいかっこいいわ。戦闘シーンとかじゃなくて生き方に惚れてしまう。
これが本当に事実であったというのがすごい…この一言に尽きるわ。
山南さんとかは切なすぎるしなぁ…。山南といえばあと意外に注目したいのが島田魁か…あの人の日記があってのこの作品ってのもあるしなぁ…。
記録という意味では新八√もいいよなぁ…子供はずるいよ…うん。
また全ルートのEDで流れる「空燃ゆ先へ」が切ないんだよな、聞いてるだけで泣きそうになる。
刀から銃…そしてそれらを捨てて生きなきゃいけなかった最後の武士たちの話なのかも。
幕末っていうとるろ剣くらいしかイメージになくて、新選組にすごい悪いイメージがあったんだけど、これ見てたら普通に明治維新のほうが嫌いになりそうだ。
長い作品だからプレイするのは大変だけど、興味ない俺でここまでハマれたんだからぜひプレイしてほしいなぁ…。
うん、いい作品だった。
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