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[レビュー]月影のシミュラクル -解放の羽-の感想
2017-04-15 Sat 00:00
<作品名>    月影のシミュラクル -解放の羽-
<製作会社名>  あっぷりけ

月影のシミュラクル -解放の羽-

シナリオ構成
S++
シナリオは一本道、TRUEENDを含めると全14ENDのミドルプライス作品。
全体的なプレイ時間は10h程度と値段対比を見れば十分量

【推奨攻略順 : 一本道(選択肢はアリ) 】
基本的に各ENDを見なければ新しい選択肢が出現しないつくりになっているので、その範囲内であれば好きな順番で良いだろう。

CG
S
あっぷりけらしい、しっかりとした線と淡い塗りの絵。
全体的に癖が強い絵ではあるものの、シナリオ二影響するほどではないだろう。
流血CGが複数枚に含まれているため、注意が必要。

音楽
S+
BGM21曲、Vo曲2曲(OP/ED)という構成。
全体的に和テイストでまとめられているBGMは作品に重要となる「妖しさ」を十二分に引き立ててくれていた用に思う
Vo曲に関しては、OP・EDともに少し影の薄い印象を受けたと言うのが正直なところ。
挿入歌の用に使ったりと工夫は見られたのだが、今一歩破壊力が足りず。

お勧め度
S++
日本伝奇物としてこれほど綺麗にまとまっている作品は珍しく、ミドルプライスと言う事を置いても、広くプレイしやすい作品となっている。
特に今回は14ENDのうち、序盤の2ENDを「月影のシミュラクル」で無料で公開する「ライトヴィジュアルノベル」という新しい形式での発表を行っており、作品の雰囲気をつかみやすいと言う意味でもお勧め。

総合評価
S++

公式ホームページ
↑クリックすると公式HPに飛びます。

田舎の儀式に参加するために、幼い頃を過ごした伊沢に戻ってきた主人公。
親戚にあたる如月の家でお世話になる事になっているのだが、その屋敷には『生き人形』の伝説があり――という、いかにもな日本伝奇物。

今回の主人公は殺人現場を目撃する事で急速に物語へと巻き込まれる事になるのだが、本当に簡単に死ぬ。14個のエンディングのうち、幸せになれたのは片手で数えられるほどで、基本的にBADルートが多いのがこの作品の特徴だろう。
また、BAD(DEAD)ENDであったとしても唐突な終わりとしてだけではなく(※そういうENDもあるが)きちんと後日談描ききる事で、ひとつの物語の終わり方として完成させている姿勢に関しては賞賛せざるを得ない。

今回、やはり注目すべきは「ライトヴィジュアルノベル」という形式――多くの無料部分を見せた後の販売というころ――というのが会社の言い分だろう。
早い話が大ボリュームの体験版がある作品だと思えば分かりやすい。
10h程度短い作品のうち、1-2h程度を見せると言うのは正直なところ勇気のいる決断ではあるが、実際のシナリオとして2ENDだけでは作品の真髄の1%にも触れていない。
同系統の販売方法として思い当たる「ココロ@ファンクション」においては、体験盤が2G超えの1ルート分丸々の公開だったことは記憶に新しいが、これと比べると遥かにハードルが低く、初めての試みとは言いがたい。
しかしながら、長い体験版でつかむ事ができる文のリズムや物語の雰囲気などは購入作品を選ぶ際の重要なファクターのひとつとして機能するだけではなく、18禁要素の抜けた作品として体験版を発表する事ができると言うのは、プレイ人口を広げると言う意味においても重要な役割を果たしたと言え、結果はともかく評価できる点と言える。

さて、作品のシナリオ自体にもう少しだけ言及しておきたいが、伝奇物としての他にサスペンス物としての側面も持つ今回の作品。
和テイストなBGMも含めて妖しい雰囲気が漂う序盤空漂っており、雰囲気作りにおいては完璧だったといえる。
短い物語、また状況も特殊において、各キャラクターの登場回数が限られる中で描ききったそれぞれの登場人物たちも驚くほど良く描かれているのがプレイ後に分かった事のひとつである。
本来なら個別ルートをしっかりと作ってほしい所なのかもしれないが、作品本体の時間が短い事を考慮すれば、ある意味この程度の踏み込みでおいておいたのはファインプレイと言えるだろう。
タイトルに入る「シミュラクル」等の設定も十分に練られており、時間を忘れてプレイし飽きも来ないままエンディングを迎えられたのは本当に久しいといえる。
ぎっしりと濃縮に詰まったシナリオの中で、『心』を大切に扱い丁寧に描写↓この作品は、涙こそ流せないものの、多くの人に読んでほしい作品となっている。

コンフィグは十二分にそろっており、プレイするのに不都合はない。

【総括】
ミドルプライス作品としてはかなりの良作と言ってもよく、特に日本伝奇物としてはフルプライス作品に十二分に対抗できる作品であり、この評価とした。

(ぶっちゃけコーナー)
最初はかなり侮っていた、と言うのが正直なところ。
2ENDだけは終わらせていたけど、かなり展開も強引なように感じていたし、あんまり続きが気になるようなものでもなかった。
だけど、中盤以降から転がるように物語が展開していくのがこの作品の面白いところ。
特にループ物のように、主人公が繰り返すことによって知識を得ていくわけではなく、「一度きりの生」の中で得た展開だからこそ描ける雰囲気は昨今の作品ではなかなか見られないな。
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